杭州に行くならどうしても泊まってみたいホテル、それが「富春山居」、英語名「Fuchun Resort」だ。
およそホテルに興味のある人間なら「コンデナスト・トラベラーズ」誌での最高評価に、「一度は自分も・・・」とあこがれてしまう超高級ホテル。
今回は奥さん連れ、値段を無視して(笑)、泊まってきた。
元朝の四大画家に数えられる「黄公望」は故郷のこの地に帰り、山水画の大作「富春山居図巻」を描いた。
そのレプリカはホテル内に飾ってあるが、富春江の雄大な流れに沿って、丘が連なり、山々の間に家屋が見え隠れする情景は、まさにシャングリラ(桃源郷)。
その「自然と人間の営みの調和」をコンセプトに台湾の製紙会社が2004年に建てたのが、このリゾート。
杭州市内から車で30分、喧騒とは無縁の茶畑に囲まれた広大な土地に、美しい湖を中心に、ホテル、ビラ、ゴルフ場が点在する。
曲線を描く屋根を冠したホテルの白壁の外観は、南宋時代の宮殿を模していると聞いた。
バリなどの超高級ハイダウェイ(隠れや)・リゾートによくある「ユルユル」感というか、ちょっと「エロい」感じ(この感覚、分かってもらえます?)が全くなく、凛としてとても美しい。
ちょっと硬すぎるくらい。
お部屋
このホテルに泊まるのなら、やはりレイク・ビューかと思い、2部屋しかないという「レイクサイド・スペリアル・テラス」という3階の部屋にした。
広さは60ヘーベーくらい、リビングとベッド・ルームを中国風の簾で区切った、ジュニア・スイート仕立て。
2方が窓で、窓を全開したときの開放感は抜群。
やはりリゾートはこうじゃなくちゃ!(請求書は怖いけど・・・)
半分まで降りている簾も雰囲気が盛り上がる。
外はもちろんゴルフ場を見渡す湖が一面に広がる。
テラスでくつろぐのも最高に贅沢。
客室数の少ないので、相当ラフな格好でくつろいでいても、誰かに見られるということもほとんどない感じ。
向こうはヴィラ。
TVは流行の薄型ではない。NHKは映る(ハイアットは日本語チャンネルなし)。
ベッドは改善の余地あり(ハイアットのベッド・スプリングとリネン類は最近の世界水準から見てもまずまず)。
赤いソファは良いアクセント・カラー。
でも、なんでこんなに奥行きの広いソファなの?
多分構造上エクストラ・ベッドを入れられないので、その代わりにもなるということか?
お線香もセット。
置てあるフーチュンの本は3000円くらいで購入可能。
こうしたカウチなどデザイン的には部屋に調和しているが、すわり心地は?
全体にデザイン重視、まずデザインありき、のホテルである。
蝿帳もおしゃれ。
バリのとも少しテイストが違う。
フルーツはホテル内で良く出てくるが、全体に美味しくない。
この「黒いリンゴ」みたいなものは何だ?
味はスモモみたいだった。
風呂はシャワー・ブースとバスタブ両方装備。
ソープ類はこのホテルのオリギナルらしいが、良い匂いと使い心地。
歯ブラシも上質なものだった。
セイフティー・ボックス、ビジネス机、バスローブ、スリッパ、ミネラル・ウォーターなど、どれも高性能、上質なものが置いてあった。
ターンダウン・サービスもある。
朝食
朝食は、ある意味ホテルの顔だ。
「レイク・ラウンジ」というところのテラス席で、まだ朝もやの立ち込める湖面を見ながらの朝食。
リゾート地ならではのゴージャスな時間である。
気持ちのいい空間。
たいていの人は洋定食か中華定食を(笑)とるみたい。
どちらを選んでもフルーツが付く。
でも、あまり美味しくない。
ドラゴン・フルーツも家の近くのスーパーのほうが良いものをおいている。
アルカルトもあるが、選択肢は少ない。
以上が中華定食。
お粥がおなかに優しい。
コーヒーは中国にしては美味しい。
香り高い。
太極拳のグループ・レッスン。
一人350元で、あの独特の服もつく。
先生は簡単な英語で指示する。
台湾出身の女性が通訳に付いてくれた。
彼女の英語はネイティブでとても聞き取りやすかった。
ただ幸せ
正面玄関を入るとレセプション。
バリの建築などに良く見られるシンメトリーで雄大な木組みのロビーは、とてもゆったりしていて、インドネシア人建築家のルーツとシノワズリーの素晴らしい融合だ。
広いのでどういうアングルから写真を撮ってよいか分からない。
チマチマしているところが全然ないのだ。
ロビーの左右の空間、昼と夜では雰囲気が一変。
廊下の一部も、フィットネスさえ(設備貧弱)、デザイン重視。
午前中のラウンジ。シノワズリー120%。
このホテルのインドア・プールも素晴らしい。
インドネシア風木組みの四角天井+タオル掛けなどが中国風インテリア+音質の良いクールな音楽、夜になるとプールの水の中(だけ)がライトアップされるので昼間黒く見えた水が水色に・・・外には3つのジャグジーも。
いつも誰もいないので、瞑想風なリラックスが必要なときにも最高。
ジャグジーもいつも清潔で、水圧も強く、いつまでも入っていたくなる。
ここは気に入った。
渡し舟は多分に風景用、実用ではない。
ゴルフ場まで一時間に一本出ている。
ゴルフ場のほうから、ホテル棟をみると。
僕らはゴルフをしなかったが、キャディーの教育など行き届いている感じ。
すれ違ったとき「アンニョンハセヨ」って言われた(笑)。
いかに韓国人プレイヤーが多いかという証拠だろう。
そういえば、アシアナも杭州までダイレクト・フライトあるものなあ。
朝早く、奥さんと散歩する。
緑がとにかく綺麗。
花もいたるところで咲き誇っている。
多客期じゃないからかもしれないが、誰一人として他の客と会わない。
「静謐」と言う言葉が浮かんでくるほど・・・。
僕らも多くを語らなかった。
ただそこに僕ら二人がいるだけで、幸せを感じる散歩だった。