イスタンブールも2日め、そろそろトルコらしい買い物もと思っていた時に、この「フォーシーズンズ・ホテル」の周囲には、絨毯屋や美術品屋がひしめいているのに気がつきました。
どの店もたいていその店の人が店頭に立ち、道行く人に声をかけています。
かなり高級そうな店も、です。
でも、そういう店はたいてい怪しいよなぁ(笑)・・・かなり心して見て歩きましたが、大体の感触をつかみたいので、とりあえずホテルのすぐ向かいにある絨毯屋にだけは入ってみました。
そこの担当者、まだ若い20歳代の男性でしたが、何と英語だけではなく日本語も韓国語もペラペラという「つわもの」(笑)でした。
これは「怪しい」、ますます「怪しい」と(笑)、2重にも3重にも用心しますが、とにかく説明が上手です。
それにとても誠実そうに見えます。
それがまた更に「怪し」く見えるのは、ガイドブックなどに「ボリボリの値段設定の店は店員がやたら親切・・・」(笑)などとの記載があったからです。
絨毯の良し悪しを見分ける眼力なんて僕にはないし、値段の高い安いなど更に??だし、絨毯などの高級品は日本で本当に欲しいものを納得した値段で買うのが一番・・・頭ではそう考えているのですが、トルコでの商談には欠かせないチャイも振舞われて、僕はだんだん彼のペースに乗せられています(笑)。
僕のトルコ絨毯への知識と言えば、絨毯はトルコでは生活必需品、今でも村の家では冬の寒さから、あるいは夏の湿気から家と住人を守る大切な道具であって、なくてはならないものとされているということ。
ただ近年は絨毯を織る家庭も織り手も激減していて、安い機械織りの化繊の絨毯が一般的、結果、伝統的な手織物は特殊な存在になってしまって、今ではすっかり外国人観光客とかトルコ人コレクター専用のものになりつつあること。
トルコの絨毯、あるいは平織りのキリムという織物は、素材(シルクとかウール製とか・・・)、年代(アンティークかどうか・・・)、織り方のテクニックなどで細かく分類されていること。
で、ウールの絨毯である草木染などのイマラットやアンティークのキョイマルはデザインと触感が気に入ればだけど、我が家に置くとそこだけエスニックになり過ぎそう、平織りのほうのキリムにもイマラットとキョイマルがあるけど、更に好みが分かれそう・・・ということで、買うのならシルクの絨毯ということにはなりそうです。
更に言えば、シルクの絨毯の値段は、裏を見て1cmx1cmの中に結び目がいくつあるかという目数で決まること。
カイセリ(地名)辺りの絨毯で6目x6目~8目x8目で1平方メートル辺り1500ドルが目安、誰もが言うブランド品のヘレケ産は糸の質と細かさが売りで、10目x10目で大体3000ドル、12目x12目以上は芸術品、たとえば20目x20目位だと15000~20000ドルとガイドブックに出ていること。
僕があらかじめ知っていたのはこのくらいなのですが、この青年の説明も大体これに沿ったもの。
何の誇張もなし・・・それで、ますます信用してしまったのです。
ま、今でも「良い人だった」とは思っていますが・・・・本当のところは????です。
いくつも見せてくれるさまざまな絨毯を写メに撮り奥さんに送信、彼女の意見も聞きます。
絨毯の説明と世間話は2時間弱にも及びました。
彼は日本にトルコ・フェアや絨毯展のためにもう10回以上来たことがあり、恋人も日本人だとのこと、流暢な日本語は独学で覚えた・・・やはり日本語でコミュニケートできるのは僕には嬉しいことでした。
僕はイスタンブールに来て日本語によるガイドを受けていないので、昨日からの疑問点を彼に聞きまくりです。
それに嫌な顔をすることなく答えてくれる若い彼をどんどん信用していってしまいます。
もちろん僕だって大人、ここで「即買う」なんてことはしません。
頭を冷やす必要があります(笑)。
何も絨毯がなくても不便はないし、トルコで買わなくっても必要なら日本で買えば・・・、いや、めったに来ることのないトルコに来ているんだ、日本で買うより絶対に安いはず・・・思いが千路に乱れます(笑)。
「そこのホテルに泊まっているから、明日また出てくるよ」
もちろんその若い彼もプロ、僕というカモを絶対に放そうとしません(笑)。
「明日どこ行くの?
良かったら、僕も礼拝に行くからブルー・モスクを案内してあげるよ」
そりゃぁ、願ったりかなったりです。
でも、それは、僕を明日必ず来させようという手なのでしょう。
ちょっと覗いて値段の下調べをしようとした店で、すっかり時間をつぶしてしまいました。
さて、僕は絨毯をその後買ったでしょうか(笑)?
その話は後日。
ちなみに写真の絨毯はヘレケ産のシルクの絨毯、実際に敷いて使うというより、タペストリーにする価値のあるものばかりです。
シルクの細い糸を使っているので、毛並みの並びによって、見る方向によって全く違う色合いに見えたりします。
一度シルクのを触ってしまうと、ちょっと他のは・・・です。