「ラッフルズ・ホテル」から、お昼を美味しく食べるために、見所は余りありませんが、マリーナ地区にあるドリアン型の建物「エスプラネード」まで歩きます。
この日のシンガポールは気温が31~2度くらい、日差しはそれなりに強烈でしたが、適当に雲が出ていて、湿度もあまり高くなく、夫婦で馬鹿っ話をしながら歩けば、そう遠くはありません。
そして「エスプラネード」からはこの景色が・・・シンガポールを代表する景色です。
中央にホテルの「ザ・フラトン・ホテル・シンガポール」、その前にうちの奥さんが見たいと言っていたマー・ライオンが勢い良く水を吹き出しているのが見えます。
拡大するとこんな感じです。
その典型的なシンガポール風景の全容は、このテラス席なら可能でしょうが、店の中に入ってしまうと・・・です。
そう、僕らの目指す「NO SIGNBOARD SEAFOOD」は、こんなロケーションにあるレストランなのです。
たしかシンガポールには数店、支店があって、僕は昔、夜の歓楽街ゲイランにあるこの店に行って、悪くない印象を持ったシーフード店なのです。
ここはそこのやや高級バージョン、場所柄それは仕方ないかもしれません。
店内はランチ時なのに割と空いています。
どうも理由はこの店、ランチ向きというよりディナー向きの店・・・と言うことらしいのです。
ま、はっきり言えば、ランチにはやや「高め」の店と捕らえられているからのようです。
運良く窓際の席も取れて、マー・ライオンまでは直接見えませんが、一面窓の開放的なシー・ビューが楽しめる席・・・そこに典型的なシーフード屋のセッティングがなされます。
お手拭、フィンガー・ボウル、鋏・・・。
中華系シーフードなので、ピーナツなども美味しいです。
まず最初の皿は、鮑(あわび)です。
まさに広東中華の古典的な鮑の煮込みですが、鮑はかなり大きくて、日本産などに比べるとそのねっとりした濃密感は少なめ(チリ産あたり?)ですが、「鮑を食ったぞぉ」の実感充分な大きさの鮑でした。
最近は、僕のサイフでは、こういう「大きさ的充実感」はなかなか味わうことが出来ない(笑)ので、貴重な体験でした。
椎茸も相当に美味しかったです。
香港などの超高級海鮮中華の店に比べると「深み」には欠けるかもしれませんが、相当満足できる鮑が取りあえず出てきたと思いました。
2番目はスープ入りの蒸し海老、英語のメニュー名だとdouble boiled lobster in superior soupというものです。
これも身たっぷりの新鮮ぷりぷりの海老、美味しいんですが、スープがややとろみの付いた甘めのスープ。
この「甘さ」は、海老との相性最高とは思えませんでした。
次は、この店のスペシャリティーの一つ、crispy cereal prawnです。
素揚げした蝦に、山盛りのこれまた揚げたシリアル。
食感も良く、美味しい蝦でしたが、これもシリアルですから味付けが甘めです。
この「甘め」というのが、シンガポールの中華海鮮の特徴だとは思いませんが・・・続いちゃいました。
でも、この「甘さ」があったからこそ、今日のメインのシンガポール名物チリ・クラブの甘辛さが余計引き立ったと言えるでしょうか。
小さな洗面器くらいの大きさの器に、どか~~んと出てくる蟹。
たっぷりの赤黄色いドロドロのスープ。
近くにいるだけで、辛さと美味しさで涎が出てきそうな、チリの匂い。
見るからに食欲をそそります。
(でも初めてチリ・クラブを体験するうちの奥さんは「何、これ?」って眼で見ています)
使われている蟹はとても大きくて上質なもの、身が一杯に詰まった新鮮な蟹です。
蟹の種類は僕には分かりませんが、俗に言うスノー・クラブでしょうか・・・食べるところの沢山ある蟹は嬉しいです。
殻には食べやすいように適当にひびを入れてあるので、蟹用の鋏(はさみ)は使わなくても、手はべたべたになりますが、簡単に食べられます。
添えられているのは饅頭(マントウ)。
チリ・クラブには必ず付くもので、それでチリのソースをぬぐって食べるのです。
チリ・クラブを注文すると、饅頭はいくついるかと聞かれます。
饅頭は中はふっくり甘めの生地、外は油で揚げてあるので、パリッとしています。
チリ・ソースとの相性は最高、卵たっぷり辛い中にもマイルドさが出ていて、この饅頭ならずとも、ご飯にかけたって、3杯は軽く食べられちゃうソースです(笑)。
この店はチリ・クラブよりホワイト・ペッパー・クラブのほうが通好みですが、うちの奥さんのようなシンガポール・ビギナーにはまずこのチリ・クラブでしょうね。
(それからこの店、お手拭から、お茶、ピーナッツ、饅頭などすべてに、安いですかきちんと追加料金がかかります)
この爪の大きさを見てください、実に食べ応えのある大きさです。
デザートは店の人の勧めで、マンゴ、ポメロとサゴのデザート。
漢字で書けば「芒果西米露」でしょうか、英語ならmango sago with peeled pomelo?
ま、要は香港の楊枝甘露です。
出来は・・・香港だったら平均以下でしょう(笑)。
以上で2人分、200ドルくらい、税金とサービス料が全部で17%付くので、日本円にすると総額15000円くらい。
1人7500円。
ランチにしては相当に高いですが、これだけシーフードを沢山食べられれば案外安いのかもしれません。
サービスはまずまずで、肝心の奥さんの満足度は★3つとまではいきませんが、2つ半は固かったようです(笑)。
「デザートがイマイチよねぇ」とか話しながら、店を出ます。
「エスプラネード」を抜けて、タクシーを拾ってホテルに帰るのですが、「あっ」と奥さんが声を上げます。
「あそこ美味しいんじゃなかったっけ?」
見るとそこには・・・。