名古屋飯の11回めは、いわゆる「名古屋飯」じゃなくて、「名古屋の飯」という方が正しいもの。
名古屋滞在中に食べた食事という意味です。
洋食。
仕事の人と訪れたのは栄の「名古屋三越」9階にある「東洋軒」という店。
「あ~、知ってる、知ってる」と僕が言うと、その人は「三重の津に本店がある店なんですけど、洋食がどれも旨いんですよ」と・・・。
その時、口に出しては言いませんでしたが、赤坂の「東京東洋軒」には行ったことあるし、この店の歴史だって僕は結構知ってるつもりです。
第一、赤坂は日本の誇る「NARISAWA」の成澤由浩シェフとのコラボ店だし・・・。
このレストランの始まりは、明治22年(1889年)に東京は三田に開業した肉料理専門店の「今福」という店、明治30年に「東洋軒」と改名、伊藤博文など時の重鎮の薦めもあり西洋料理店に転向したんだそうです。
才能ある料理人を厳選して雇い入れ、以後、ここから多くの優秀な料理人を輩出、宮内省御用達として皇居内の晩餐会などにも出張に行く、日本トップクラスの西洋レストランとしてその名を馳せていたとか・・・。
昭和3年(1928年)に三重県の津に「東京東洋軒出張所」を出店、東京で生まれて123年、津に移って84年という歴史を持つ店です。
確認はしていませんが、クリームコロッケやスパゲッティ・ナポリタンもこの店周辺から出てきたと・・・、これは本当かなぁ?
いつかちゃんと調べてみることにしましょう。
レトロな建物の本店(僕は行ったことはありません、写真だけの判断です)、スマート・シック系の赤坂とは違い、ここ名古屋の店はすごく広い、ややカジュアルなしつらえ。
ディナータイムというのに、店は空いていて、数組のマダムがいるだけ、これだけのキャパシティが埋まる日なんてあるんでしょうか?状態。
他人事ながら心配しちゃう客の入りでした。
僕らはどうしても評判のメンチカツを食べたかったので、それが入った「東洋軒ディナー」というセットを・・・。
先ずスープ。
この店の古い伝統を引くというポタージュか、季節のスープとしてそら豆とうすい豆のコンソメか・・・、僕は後者を選びました。
クラシックなコンソメ、最近こういうのを頼まなくなってきているので「懐かしい」感じ。
空豆も良い香り、確かに季節~です。
で、お目当てのフォアグラ入りメンチカツ
揚げたてが運ばれてきます。
付けあわせのポテトサラダとご飯も。
ご飯はいくらかプラスすると、これまたこの店名物の「ブラックカレー」にも変更出来るようです。
もちろんご飯の代わりにパンも選べます。
こんがり狐色、美味しそう・・・。
ナイフを入れると、溢れる肉汁。
溢れ過ぎなほどです。
フォアグラもしっかり薫り立ちます。
揚げ方も良いし、美味しいのは美味しいのですが、この値段(セットで3800円+)はどうなんでしょう。
皿の上は少し寂しいし、盛り付けにももう少し美しさが欲しい・・・。
ポテトサラダだって、あまり工夫の感じられないもの。
こんなつまらないデザート付けずに、メンチカツ単品でも注文出来るようにするとか、肉の量を増やして満足感あるものにするとか・・・、僕にとってこれは最高のディナーとはなりませんでした。
大きなネオン看板が少し邪魔ですが、窓の外にはテレビ塔や観覧車など名古屋中心部の景色を眺めることが出来ます。
ウェイトレスは丁寧ではあるものの、あまり慣れている感じはなく、コストパフォーマンスがもう少し改善されれば、また行っても良い店かもしれません。
蛇足ですが、この「東洋軒」、昭和5年から17年まで茅場町にあった「東洋ホテル」と何か関係あるような記述をどこかで見た記憶があるんですが、本当のところはどうなんでしょう。
(ネットに落ちていた写真です。いまはもう取り壊されたそうです)