「世界に通用する日本独自のホテルを」という創業者・大倉喜七郎の思いの下、1962に開業した「ホテルオークラ東京」。
その建築・デザインは「1万8000坪の芸術」と呼ばれるほど、日本の伝統美が凝縮されたもの。
特に海外からも「日本モダニズムの傑作」と評価の 高い本館ロビーは、まさにこのホテルの象徴のようなところ、僕も一体何回ここを通り、何回ここに座ったことでしょう。
今回は思い出用の写真集。
僕が宿泊した日撮った写真すべてを載せておきます。
同じような写真が多いのは、お許しください。
9月にはもうこれは見られないのです。
ナナカマドだそうです。
夏には白い花を咲かせ、秋にはあざやかに紅葉し赤い実をならせるナナカマド。
ホテルの活花は今でも石草流家元奥平清鳳先生の手になるもののはずです。
石草流については
http://sekiso-ryu.jugem.jp/?pid=1
を参考にしてください。
僕はこの自由な発想 でダイナミックな空間をかもし出す独創性と、現代の暮らしにも十分調和する上品な美 しさを併せ持つ、ホテルを飾る活花たちが好きでした。
この素晴らしいロビーがなくなってしまうのかぁ、思わず写真を撮る手が止まってしまったほどです。
印象的なオークラ・ランタンの下、満開の梅の花に見えるように置かれた輪島塗のテーブルとイス。
四弁花の壁面のデザインは人間国宝・富本憲吉氏の作だそうです。
西陣のつづれ錦で制作。
「非常に手間のかかる作業で、織物の一片が出来上がるたびに列車や飛行機で運び、完成したのは開業レセプションの当日午前5時だった」とホテルの歴史を書いた本にも出てきます。
この活花(というのか?)ももちろん石草流。
凛としているのに、柔らかく落ち着いたムードで、とにかく居心地の良いこのロビー、静けさと間接照明のオークラ・ランタンがもたらす効果の他に、ここに喫茶など商業スペースを設けなかったこともあるのでしょう。
ホテルを飾る様々な和の文様の詳細は
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/special/50th_anniversary/japanese_patterns.html
をご覧ください。
窓からは麻の葉文様の木組スクリーンと障子越しに陽光が差し込み、ここは光と影も素晴らしいロビーです。
オークラ・ランタン。
古墳時代のネックレスなどに使われた切子玉がモチーフで、内側には和紙がはられ、柔らかい光をロビーを照らしています。
あぁ、この形。
もう何とも言えません。
ロビーからエントランスのドア方向を見たところ。
クローズの前にしてこのロビーは僕を含めて朝から晩まで写真を撮る人が一杯。
朝なら誰もいないかと思いきや、プロの人の撮影が入っていました。
なるべく人のいない時に、映り込まない時に撮ったのですが、それでもロビーが無人になることはほとんどありませんでした。
重厚なコンシェルジェ・チーム。
ちょっと慣れてない方だと気おくれしてしまいそうです。
もちろん相談には親身に乗ってくれて実にプロな人達ですが、気軽にちょっと何か聞いちゃおうなんて気分にはなれない感じでもありました。