イスタンブール旅情 (4) 今日のおやつはお土産の名店「ハジベキール」のロクム

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ロクム(Lokum)、英語で書かれる時はターキッシュ・デライト(Turkish Delight)ですが、これは14~15世紀の頃からトルコにあるスイーツです。
日本の求肥(ぎゅうひ)やゆべしに似ているロクムですが、このロクムがトルコの代表的なおみやげのひとつとして知られるようになったのは、ハジ・ベキール(Haci Bekir)というお菓子職人のおかげなんだそうです。
18世紀になり、ヨーロッパからトルコに砂糖が輸入されるようになってから、それまでの蜂蜜やペクメズ(ぶどうから作る果糖)で作っていたお菓子を一層おいしくすると共に、それまでとは違った新しいデザートを作ろうとお菓子職人達が競っておいしいお菓子作りを始めたそうです。
今回ロクムを買った「ハジ・ベキール」の初代ハジ・ベキールもお菓子作りに情熱を燃やす職人の一人だったのです。
その彼の店、その名も「ハジ・ベキール」はイスタンブールに1777年の開店。
(すごい歴史ですね、この街にはこういう店が沢山あります)
この店のお菓子の美味しさはすぐに街の人達を魅了して、その噂が宮殿まで届き、スルタンのお気に入りとなり、彼を宮殿のチーフ・パティシエに任命したそうです。
彼の死後はその息子が後継ぎとなり、その息子さんの時代にはヨーロッパで開催される数々のお菓子フェアで賞を受賞し、ロクムをトルコ以外に広めることとなりました。
更にその息子のアリ(Ali)の時代にはエジプトに店を開店させると共に、アメリカやヨーロッパにもロクム人気を巻き起こし、ロクムを世界各国に輸出するようになったそうです。

トルコ・コーヒーはその昔、砂糖を加えず苦いまま飲んでいたため、コーヒーを飲みながらロクムを食べるという、ちょうど日本の茶道と同じお茶菓子的存在でもあったようです。
ロクムの材料は、基本的にとてもシンプル。
砂糖、コーンスターチ、クリームオブタータ(酒石酸水素カリウム)が主なものですが、その作り方は難しく、温度や混ぜ方に注意しないと堅くなりすぎたり、不透明な色になったりしてしまい、おいしいロクムを作ることがで出来ないそうです。
従って料理好きのトルコ人でもロクムに関しては購入する方が多いようです。
ロクムの種類は、これはピスタチオ・ナッツですが、プレーン、ローズウォーター(ばら水)、ヘーゼルナッツ、くるみ、アーモンド、ココナッツ、しょうが、オレンジ、レモン、いちご、ベルガモット、ミント、シナモン、生クリーム、チョコレート他多数のものがあります。
トルコ最大手の全国紙ヒュリエット(Hurriyet)紙が選んだトルコの最もおいしいロクム店トップ10が発表されているので、ここに転載しておきます。
 1位  Hacibekir (ハジベキル) - イスタンブール
 2位  Sekerci Ali Galip (シェケルジ アリ ガリプ) - イズミール
 3位  Cemilzade (ジェミルザデ) - イスタンブール
 4位  Safrantat Lokumcusu (サフランタト ロクムジュス) - サフランボル
 5位  Malatya Pazari (マラティヤ パザル) - イスタンブール
 6位  Divan Pastanesi (ディヴァン パスタネシ) - イスタンブール
 7位  Ikbal (イクバル) - アフィヨン
 8位  Yeni Ugur Helvacisi (イェニ ウゥル ヘルヴァジュス) - アダナ
 9位  Oguz Uzun Sekermecisi (シェケルメジシ) - アンカラ
10位  Tugba Kuruyemis (トゥバ クルイェミシュ) - アイデゥン
だそうです。

イスタンブールに「ハジ・ベキール」は数店ありますが、僕はエミノニュの店で買いました。
試食もOK,納得してからロクムを買う事が出来ます。
ピスタチオの粒々感と立ち上る香り、それを取り巻くややや固めのもちもち感、外に振ってある細かい粉糖・・・これは美味しいと思いました。
街の至る所で売っているロクムより値段が相当高いので、やはりこの店はトルコの「虎屋」なんでしょう(変なたとえですみません)、信頼できる味のお店のようです。

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