メンフィス滞在の最後は、やはりミシシッピー川のほとりで過ごすことに決めました。
僕にとっての人生最高の曲「A change is gonna come」をぜひここで聞いてみたかったのです。
サム・クックが歌うこの64年の名曲はちゃんと僕のウォークマンに入れてあります。
川まではホテルから歩いても行ける距離。
ここに見えているのはその名も「ピラミッド・アリーナ」(Pyramid Arena)という大ホール、もちろん川沿いに建っています。
それをもう少し上流から見てみます。
写真の右端にピラミッド形が見えていますね。
川沿いのこの辺りは再開発される予定との看板も立っていましたが、僕にはいつまでも何気ない川沿いであって欲しい場所です。
ここのベンチに座って、旅の記録をつけながら、日の入りを待ちます。
夕方の風は涼しく、周りにはジョギングをする人たち、散歩をする人たち・・・どこからも電子音が聞こえないほぼ理想的な場所でした、僕の旅の締めくくりには。
I was born by the river in little old tent….で始まり
There have been times that I thought I couldn’t last for long, but now I think I’m able to carry on.
It’s been a long time comin’, but I know a change is gonna come
とクライマックスを迎えるこの歌、「A change is gonna come」。
サム・クックがゴスペルから白人もターゲットに入れたポップなシンガーに変身、そしてこの曲を契機に黒人としての自立を自ら宣言し、新たなサムに生まれ変わった大名曲です。
その後のマーヴィン・ゲイの「What’s goin’ on」の伏線にもなる、ソウル・ミュージックをR&Bを愛するものには、あらゆる意味において「絶対」の曲と言えます。
ウォークマンでこの曲を何度も何度も繰り返し繰り返し聞きながら、そして雄大なミシシッピー川に夕日が落ちるドラマチックなサンセットを見ながら、「あぁ、やっとここまで来れた」と、感慨しきりです。
青春時代から夢に見たメンフィス、サムがここのステージで歌い、オティスがここで生まれ、幾多の名曲を生み出した名スタジオにも行き、アルのお説教も生で聞け・・・あぁ、もう思い残すことはないかもしれません(笑)。
今回こそ最高に想い出に残る旅だった、本当です。
これからそういう気持になれる旅を何回することが出来るのでしょうか?