銅鑼灣の「何洪記」で昔ながらの「巧製南乳猪手麺」の夜食。
食べ終わって「ハイサンプレイス」(希慎廣場)から外に出ると、やはり1月、さしもの香港も夜には少し温度が下がり、涼しい感じが・・・。
そうかぁ、香港も冬かぁ、季節は。
冬、香港、夜・・・と考えていると、僕の頭に猛烈に浮かんでくるのは?仔飯のイメージ、土鍋で炊いたご飯です。
あ、食べたい(笑)、お腹は一杯なはずなのに、何故か?仔飯をめちゃくちゃ食いたい・・・。
時間はまだ午後11時前。
?仔飯の店はたいてい深夜までやっているはず。
でも?仔飯の店で僕が知っているというか取りあえず思い出せるのは、九龍の方の店。
確か香港島に帰ってくるMTRの終電は午前1時ちょっと前だったはず、時間はある、乗り放題のトラベルパスもある → 行ってみようということで、MTRで油麻地駅までやってきました。
確か「テンプル・ストリート」(廟街)の辺りに?仔飯の店が密集していた記憶です。
で、その記憶は大当たり。
廟街の方に行こうと油麻地駅のC出口を出て文明里を歩いていくと、すぐにぶつかる「ア―サーストリート」(鴉打街)の奥に人だかりが見えます。
好奇心からその通りに入ってみると、そここそ何と?仔飯の超人気店「四季?仔飯」だったのです。
香港でも屈指の行列店として有名なここ、その名前だけは知っていましたが、まさかここにあるとは・・・。
僕が行こうと頭に描いていたのはもう一本隣の廟街にある「興記?仔飯」でした。
それにしてもこの何という店構え。
中が見える透明のビニールの風よけに、手書きの店名が紙でただ張り付けてあるだけ。
それも破れかけの・・・。
中は満員そう、そして入口にはグループらしき人たちが10人ほど席待ちしています。
店の隣にはこんな外から丸見えの厨房で、忙しく料理が作られています。
この店にしては行列は短い方かも、並んで待つべきか悩みます。
「興記?仔飯」に行ってみようか、「興記?仔飯」は近いところに店がいくつもある巨大(?)店、あそこなら座れるかも、でもここの方が有名だしな・・・。
様子をうかがっていると、どうも店の前で席待ちしている人たちはグループで座れるように席を待っているよう、僕のように一人だと、テーブルの隅の空き席を相席で案内してくれそうなのです。
なので、僕、店の人にアッピールです。
店のおばちゃんスタッフたちは大忙し、一時も手を休めません、足も止めません、英語も分かってくれません。
客に親切にしようとか、分かってあげようなんてそぶりはみじんもありません。
僕は目の合ったおばちゃんに、強めに「一人」をアッピール、すると前に並んでいた10人くらいを飛び越して、すぐに座る位置を指示されます。
空いているからといって自分の好きな席には駄目です、すべておばちゃんたちの言うとおりに。
僕が指定されたのは5人グループで食べに来ている6人用(?)テーブルの空いている端の席です。
相席は当たり前そうで、相手は一瞬好奇の眼で僕を見ますが、後はもう無関心、自分たちの世界に入っていきます。
この店では座るのも、注文をするのも、すべてかなり強くアッピールしないと、いつまでたっても食べられないことになります。
当然のことながらメニューブックなんて洒落たものはありません。
壁の張り紙で注文するようです。
具の種類の組み合わせで種類はいろいろ、漢字の感じから意味は分かりますが、発音出来ない・・・。
指さしでオーダーしようにも、壁はあまりにも遠い。
もたもたしているとオバちゃんたちはもうその客にかまってくれません、他の客の方に目が行っています。
そういう意味では日本人にはハードルの高そうな店です。
僕が食べたかったのは壁のメニューでいうと(この他にもいろいろなところにべたべたとメニューが貼ってあります)下の左にあるやつ、北茹滑鶏の?仔飯です。
字のごとく椎茸と鶏肉の土鍋炊き込みご飯。
超無愛想なおばちゃんがコップと蓮華と箸をこんな風に持ってきたら、すかさず「・・・ワッガーイ」と似非広東語で(笑)。
「パッグー・ワッガーイ」とうまく発音出来れば正解だったのですが、僕、最初の方の発音を覚えていなかったのです。
おばちゃん、「はぁ?」と怪訝そうかつ超面倒くさそうに・・・。
唯一覚えている「ワッガーイ」を連呼して、素早く手帳に「北茹」と書いて見せます。
おばちゃん、「パッグー・ワッガーイ?」。
僕は大きくうなずき、注文完了。
ふぅ、です(笑)。
他のテーブルを見まわしながら、洗杯を・・・。
ポットの中に入ったお茶をコップに入れ、そこで箸と蓮華を洗います。
そうそう、ここは料理オンリーの店で飲み物は各自外で買ってきて持ち込みです。
僕は自分が持っていたホテルのミネラルウォーターを飲んでましたけど、もちろん何も言われません。
注文して約15分、たくさんの土鍋を乗せたトレーを持ってオバちゃん登場。
土鍋にはどの席の注文か分かるように紙が貼ってありますが、「バッグー・ワッガーイの人?」とおばちゃんから声はかかったら、すかさず「ここ、ここ」とアッピールします。
ここもタイミングを逃すと、もしかすると別の人のところに土鍋が行ってしまうかもしれません。
土鍋は蓋が持てないほど超熱い・・・。
でもすぐに開けて、テーブルの上の醤油だれを鍋肌にも、鍋の中にも回しかけます。
たっぷりめくらいでちょうど良い感じです。そしてちょっと蒸らします。。
再び開けると、少し醤油の焦げた匂いも混じった実に良い匂い、かき混ぜてはふはふしながら口に・・・。
旨~~い、日本人にも100%気に入る味、料理です。
これ嫌いな人はいないでしょう、的。
椎茸と鶏肉から良い出汁が出ていて、それに醤油ですから、不味いはずはありません。
インディカ米もこうして炊くと、美味しく仕上がりますねェ。
入っているご飯の量は大盛りのご飯茶碗2杯分ちょっとくらい、みなさん大体一人一鍋は食べているようです。
後半に同じテーブルになった男女のグループは僕に興味津々らしく、英語でどこから来たのかと聞かれます。
僕が日本人だというと、「コンニチワ」とか「ホンコンニヨーコソ」とか知っている限りの日本語を笑顔で並べてくれるのです。
僕が適当に話を切り上げようとしても、彼らはとにかく日本人と話したいようです。
スマホの翻訳機能を使ったりして、意志疎通を図ろうとします。
比較的英語の出来る一人によれば彼らはみんな日本が大好きだというのです。
大阪に行ったことがあるけど、最高に楽しかったと口々に・・・。
スマホに入っている通天閣の写真なども僕に見せてくれます。
そして彼らが注文したスープも僕のお椀に取り分けてくれたり、この店のもう一つの名物「?餅」(牡蠣のテンプラ)もくれたりしたのです。
香港には日本が好きな人が多いんですね、彼らのおかげで後半はとてもリラックスしてこの店を楽しぅことが出来ました。
有難う<あの時の若い香港人男女グループさん。
料金は土鍋を持ってきたときに、おばちゃんに払います。
HK$37でした。
MTR「油麻地」駅から「金鐘」駅に戻る終電は0時50分と、「油麻地」駅に降りた時に調べてあります。
終電までにはまだ相当時間があります。
廟街、俗にいう男人街を歩いてみます。
結構怪しさいっぱいの屋台、でもそろそろ店仕舞いのところも出始めています。
あ、ありました。
僕が最初行こうと思っていた「興記?仔飯」のうちの一つの店。
ここでも「?餅」が人気のようで、どのテーブルも土鍋+これで一杯です。
ここは「四季?仔飯」より外国人慣れしているようで、店のおばちゃん「the oyster cake, delicious」と声をかけたりしてくれます。
僕はお腹いっぱいということもあるからでしょう、さっきも香港の人に分けてもらった「?餅」、ちょっと油っぽく感じました。
そして深夜0半過ぎ、終電よりは少し前にMTRで「金鐘」駅まで帰り、真っ暗な「パシフィックプレイス」の中を通り、「コンラッド香港」の客室に午前1時前到着となりました。