奥さんのシンガポール (8) ブキット・パソは美食の宝庫~「アブサン」

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チャイナタウンの「ブキット・パソ・ロード」周辺は、まさに新生チャイナタウンの典型です。
古い中華系ショップハウスを改造したトレンディーなレストランが軒を連ね、前述の「ニュー・マジェスティック・ホテル」(大華飯店)もここに位置しています。
その通りのほぼ突き当たり、前述の「アンドレ」(Andre)のお向かいに、ここフランス料理レストラン「アブサン」(Absinthe)はあります。
アブサン・・・発音は難しいです。
英語ならアブシンスでしょうし、フランス語でもアブサントって聞こえる時もあります。
ま、いずれにしてもこれは、フランス、スイス、チェコ、スペインを中心にヨーロッパ諸国で作られている薬草系リキュールのこと。
ニガヨモギやアニス、ウイキョウ等を中心に複数のハーブ、スパイスが入っているアルコールです。
日本では「ペルノー」(Pernod)という商品名の方で有名かもしれません。
ただニガヨモギの成分のツヨシによる幻覚作用と、値段が安く強い酒であることから、一時は禁止されていたという、いわくつきの酒でもあります。
これがフランス料理屋の店名となると・・・どこか魅惑的です。
パリの「マルシェ・サントノーレ広場」のある「ラブサン」(L’Absinthe)など、この名前はビストロなどに好んで付けられています。
(パリのレポートは2010年4月23日を参照してください)

このフレンチ・レストランを僕の「お薦めリスト」に入れたのは、ひとえに「トリップ・アドヴァイザー」(Trip Advisor)で、シンガポール全1652レストラン中ナンバーワンの座を得たレストランだからです。
(http://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g294265-d1462124-Reviews-Absinthe-Singapore.html)
中は、入口にバー・エリア、そして奥に細長くテーブルが・・・。
キッチンとの間には写真のような細長い窓があり、こちらからコックの動きが見えるようになっています。

奥さんの話と僕の想像でですが、「アンドレ」ほどのある種のスノッブ感はなく、「普通の」(笑)高級なモダン・フレンチの店って感じです。
メートルドテルが有能な人らしく、全テーブルに目をくばり、サービスもなかなかだったと・・・。
この店の評価の一つにリーズナブルな値段のセット・ランチがありますが(奥さん、値段を覚えていず正確には不明、35シンガポール・ドル++くらいだったんじゃないの?とのこと)、今回奥さんたちが選んだのは「ムニュ・アブサン」(Menu Absinthe)という5コースのランチ(98シンガポールドル++)。

スターターはマリネしたキハダマグロ、冷たいラタトゥイユ、そして黒オリーブのタプナードです。
タプナードって分かります?
フランス・プロヴァンス地方の料理で、黒オリーブやアンチョビ、オリーブオイル、香草などで作ったペーストのことです。
これは組み合わせからして、まず文句はないはず・・・そう奥さんに聞いたら、彼女ただ一言「美味しかったよ」と・・・。

次の皿はホタテとベビー・アーティチョーク。
泡ソースは「アンドレ」でも出てきたカフィアライム(コブミカン)味だったと・・・。
カフィアライムは今シンガポールでブームなのでしょうか?
ホタテのグリルの仕方が絶妙とのことでした。
今度はフォアグラのソテー、温かいブリニ(小さなパンケーキ)付き。
「合せるベリー系のソースはモレロチェリーを使いました」と、メートルドテル。
(モレロチェリーとは、日本でいうサワーチェリーのことです)
奥さんの評は「これも文句なしだけれど、何もシンガポールでなくてもこの味は味わえるよね」(笑)。
次のメインは肉か魚か選べて、彼女はラムを・・・。
前日ランチした「アンドレ」に比べて、いかにも肉食人種用のメインで、「フレンチとしてはこっちが本流よね」なんて、うちの奥さんは言ってました。
ラムの下には多めの煮たレンズ豆、ソースには大蒜のフレイバーも軽く感じたとのことでした。
これも総合的に〇だそう・・・。
デザートはチョコレートと生姜のブランマンジェ、周囲はアプリコットのソース。

これは普通の出来と・・・。
普通と言えばパンも「アンドレ」に比べていかにも普通、最後のコーヒーと共に出るプチフールに至っては既製品、いくら「ヴァローナ」(Valrhona)製のチョコレートでもこれはいただけないと言っていました。

ま、クラスが違うといえばそれまででしょうが、奥さんの最終ジャッジによると、日本人がハレの日にわざわざ食べに行くなら「アンドレ」、普段の中でちょっと張り込みたい時に友人と行くのが「アブサン」、そんな違いだそうです。


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