GWはカンボジア (30) バンテアイ・スレイ

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「アマンサラ」にチェックイン。
丁寧な施設説明の後、日本語に堪能なカンボジア人女性スタッフと、ステイ中のスケジュールを綿密に相談。
彼女は、僕の希望を良く聞いて、それを整理、僕の滞在中のアイテナリーを作り上げてくれます。
「アマンサラ」では1泊に付き1アクティビティが無料。
時刻はもう午後の3時頃ですが、これからでも時間的に可能なコースで、僕のまだ行っていないところから、彼女が提案をしてくれたのは「バンテアイ・スレイ」の観光と「プレ・ループ」の夕陽鑑賞という組み合わせ。
何とそのツアーは午後3時半開始と・・・。
つまりたった30分位の間に、彼女はこのツアーのアレンジをすべて終了させてくれたのです。
ドライバーと車、そしてこれはびっくりしたのですが日本語ガイド(契約会社からの派遣)が、本当に3時半にツアー用のエントランスで、僕を待っていてくれたのです。
僕はてっきり英語でのツアーかと思っていました。
このピーク・シーズンに日本語ガイドがすぐに用意出来る「アマンサラ」はすごいです。
(シェムリアップに日本語の出来るガイドは約800人、今はこの時期に仕事のないガイドがいないくらいのド・ピーク・シーズンだとは、別の人から聞きました)
あまりの手際良さに、もしかしたら僕の予定の前に取りあえずガイドだけは確保しておいたのかも・・・なんても考えました。
「女の砦」という意味を持つ「バンテアイ・スレイ」。
シェムリアップの中心部から車で北東に約40分の距離にあるシヴァ神とヴィシュヌ神に捧げられたヒンドゥー寺院です。
ここは赤い砂岩の色が特徴的な遺跡、遺跡に光の当たる午前中が訪問のベストタイムとされているので、夕方のこの遺跡には人はほとんどいません。
前日の「アンコール・トム」や「アンコール・ワット」の異常なまでの混雑からは信じられない、静かすぎるほどの雰囲気が、入口から僕を魅了します。
土の色の「赤」もまた、僕のカンボジアのイメージの一つ。
誰もいない参道を日本語ガイドと共に進みます。
両脇にはリンガ(男性器)を模した像が・・・。
三重の周壁を持つ祠堂までにいくつかの門をくぐります。
ライオンの獣人であるナラシンハが阿修羅王を組みふすレリーフが有名・・・と、日本語ガイドが僕に1対1で詳細に説明してくれます。
やはり激混みのツアーとは全然違います。

ぐ~っと寄ってみましょう。
素晴らしいレリーフですね、これが10世紀の創立以来、こんなにきれいに残されていることには、ただただ驚嘆するしかありません。

もうこれはレリーフ美の極致と言っても良いのではなどと、このまだ入り口付近からして、そう思ってしまいます。

材質は赤砂石とラテライト。
その赤砂土などの質が良かったために、この精緻な彫刻がこうして数多く今に残っているんだそうです。
第一周壁の門から中を見てみます。
両側の環濠の向こうに第二周壁、その奥に中央祠堂が見えています。
この第二周壁の塔門は、その姿、彫刻共に評価が高く、カンボジアの50リエルの紙幣にも描かれています。
残念だったのはまだまだ強い日差し、どうしてもこの方向で写真を撮ると逆光になってしまうのです。

↑の中央に小さなヴィシュヌ神がいるレリーフは本当に美しい・・・。
色合いは少し変わってしまいますが、逆光を避けて、もう少し拡大して見ましょう。

塔門の上の破風(はふ)の先端が渦巻き状なのがここの特徴・・・など、ガイドの日本語も冴えわたります。
これは蓮の花?

ヒンドゥー寺院でも蓮はモチーフの一つになるのでしょうか。
そして、これが第三周壁の東塔門、中に見えるのが中央祠堂。
塔門のレリーフの中央は笑うシヴァ神です。
で、注目はこのロープ。
つまり現在はこれより中、第三周壁以内は立ち入り禁止なのです。
この辺りには当然のことながら警備員がいます。
ということはこの「バンテアイ・スレイ」最大の見物の「東洋のモナリザ」を見ることが出来ない?
かつてアンドレ・マルローがそのあまりの美しさに盗掘してフランスに持って帰ろうとしたという最高に優美なデバターのレリーフ。
あれが見られないんじゃ、ここに来た価値がない・・・。
「東洋のモナリザ」はこのロープの中に有るのです。

二つの経蔵、二つの塔・・・もう精巧なレリーフに次ぐレリーフ、ヒンドゥー神話を描いた精緻な彫刻が壁を埋め尽くしています。
圧巻です。
いかにも新しい像は、後世の物だそうです。
確かに他とはあまりに違いすぎますものね。
しばしその芸術をご覧ください。
これらを誰にも邪魔されず、ガイドと1対1で好きなように見られ、写真を撮れたのです。
凄いぞ、「アマンサラ」の企画力とガイド。
で、ガイドに聞いてみました。
「どうして入れたの? 入っちゃ駄目なんでしょ。」
ガイドが一言
「チップ払いました」。
は?(笑)

はっきり言うと警備員のバイトだと、ガイド。
客の少ない時、他の人の目の少ない時に、これは公然と行われていることなんだそうです。
ガイドブックが薦める午前中に団体で来たら、こんな風に中に入って写真は撮れないということでしょうか。
「アマンサラ」はこれを知っていて、僕に人の少ない午後からのここの観光を薦めたのでしょうか?
だとしたら「アマンサラ」は本当にすごいです。
ただこれは僕の時の状況で、いつもこうなるとは思えません。
そこは皆様、お含みおきください。
で、いよいよ「東洋のモナリザ」。

掘りの深い、洗練された実に優美なデバター像。
しなやかで柔らかい体の線と表情に魅せられます。
警備員に目で挨拶、彼らもニコっと・・・。
ガイドの経験・知恵・機転・・・何かは分かりませんが、彼のおかげで「東洋のモナリザ」も見られたし、誰もいない静かな遺跡というものも体験出来たし・・・本当に良い時を過ごさせてもらいました。
まだまだ暑かったのと、少し蚊がいたことくらいが文句。
車に着くと、冷たいお絞りと水が待っていました。
この後は・・・

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