アジア周遊旅行　（１３）　カフェチリ

バンコクでの１食めは何にしよう・・・バンコクはある意味慣れている街なので、事前に何にも考えてきませんでした。
とりあえず盛り場（古い表現！）に出てみよう・・・ホテルから近くのＢＴＳ（高架鉄道）のプロンポン駅まで無料シャトル・バスが出ているのですが、時間のない旅行者、折からのバーツ安・・・こういう時は迷わずタクシーです。
サイアム・スクエアの「サイアム・パラゴン」前で停めてもらいます。

さすが今日元旦はタイでも休日、ハイソなタイ人ファミリー、ちょっと背伸びしたい若いカップル、外国人旅行者でかなりな賑わいです。
フードコートはほぼ満席、日本の「大戸屋」なんかも店を出していてこのクラスの店も満席、だんだん高級な店も見ていきます。
そこで決めたのがここ、「カフェ・チリ」という高級イサーン料理店。
通常のエントランスから入ると一番奥まったところに位置しているので、日本人を含めて外国人は誰一人としていません。
お金持ちそうなタイ人ばかりです。
こういう店はきっと美味しいのでは？との期待に胸が膨らみます。
タイ東北部スタイルの店内もなかなかの雰囲気ですが、この店の良さは店の外にあるようです。
そう暑くもなく湿気も少ないこの時期、こうした水辺の席は最高の上席。
タイでも最貧地区のイサーン地方、その料理はスパイシーな美味しさで日本人にもファンが沢山いますが、本場のイサーン料理は、その地域的な貧しさも反映して、材料がやや貧弱なことが多いのです。
味付けは良いのに、この肉何？？？みたいなことがよくあるのです。
そこを高級素材をふんだんに使うようにしたのが、この店のコンセプトのようです。

まずはアペタイザーに「プーニム・ソムタム」を。
プーニムとはソフト・シェル・クラブのこと。
ソムタムはシャキシャキした野菜の新鮮な食感がさすが高級店、でもその辛さはイサーンそのものです。
容赦のないタイ人向けの辛さです。
でも確実に辛さの向こうに美味しさがありましたよ。
プーニムも美味しく揚がっていましたが、ソムタムとの相性はやや無理やり感があって、これはソムタムの一皿を何とか高級にしたいだけ、値段を高くしたいだけのような気がしてしまいました。
メインは「ガイ・ヤーン」です。
ガイは鶏、鶏の炭火焼です。
その独特のタレが人気のイサーン最大の人気料理です。

これも美味しい、味付けも大胆かつ上品です。
でも、こんなに肉付きの良い鶏をガイ・ヤーンで食べたことはありません。
いつももっと貧弱な鶏肉で食べていました。
こんなに良い鶏では僕の思うガイ・ヤーンではなくなってしまいます。
ここが料理の難しいところですね。
で、結論。
この店、美味しいことにはかなり美味しいんですけど、僕はイサーン料理はもう少し「普通の」イサーン料理屋で食たいという気持ちになりました・・・ってことですかね。
四角い蒸篭に入った米はもち米、野菜は食べ放題、食後には（真ん中の）レモングラスのジュースでお口直し。

夕闇が迫ってくると照明に明かりがつき、ライブ演奏が始まります。
イサーン音楽（たとえばモーラムとか・・・）をやるのかと思いきや、ポピュラーなラウンジ・ミュージックが主でした。
でも良い雰囲気です。
何か良いこと（笑）を予感させるバンコクの夕闇、東南アジア独特のネオンのつき方の怪しさ、けだるくそして甘くまとわりつくミュージシャンの歌声。
うん、だんだんバンコクらしくなってきたぞ（笑）。
人で一杯の「サイアム・パラゴン」を出る頃にはもう本格的な夜。
光の通路の中をキャッキャ言いながら若いカップルが通り抜けていきます。
さぁ、僕はこれからどうしよう・・・。