コロンボ&香港 (27) 「ナンバー11」はバワの自宅

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僕のジェフリー・バワの建築を訪ねる旅、その最後は彼のコロンボでの自宅兼仕事場の通称「ナンバー11」。
僕とガイドを乗せた車はベントタから一路コロンボ市内へ・・・。
一見順調そうにみえたその帰路でしたが、途中でトラブル発生。
それはコロンボまでの高速道路のサービスエリアのATMでの出来事、なにがしかのスリランカ・ルピーの現金が欲しかった僕は備え付けのATMでクレジット・カード・キャッシング。
英語の表示も出て、途中までは順調に進んだものの、最後のところでカードが中に飲み込まれてしまい、現金もレシートも出てこない・・・。
幸いガイドが付いているのでサービスエリアのスタッフ(単なる警備員??)とのやり取りには困らない・・・。
でも彼らは何も知らない、分からない、また分かろうともしない。
「それって俺が悪いわけじゃないし、そんなの知らない、分からない」の一点張り。
さぁ、それからが大変、今何をすべきか、落ち着いて良く考えます。
現地ガイドがATMの銀行の代表番号に電話をかけてくれますが、なかなか埒があきません。
何かすべてにピントがずれているというか、客のために動いていないというか・・・。
結局何かのエラーでカードが飲み込まれて、一度機械の中にカードが飲み込まれると通常の操作では取り出せず、インターナショナル・カードなら一度無効にして新しいものを作り直せ、機械に飲み込まれてしまえば第三者による不正利用は理論的に出来ないはず・・・ここまで分かるのに、長時間にわたる、何回もの電話が必要でした。
僕はその日もまだ食欲がなく、すべてに本調子じゃないところに、この事態・・・僕のイライラも相当なものでした。
それにこれからコロンボに戻って見に行くはずの「ナンバー11」の閉館時間も迫ってきています。

「ナンバー11」は多分午後5時には閉まってしまう、そしてカードの不正利用はないはずという銀行側の説明を取り合えず信用、車を再びコロンボに向けて走らせることにしました。
車中から日本のクレジットカード会社にコレクトコール。
このカード会社の緊急時の電話番号もコレクトコールする番号もすぐには出てこず、焦りまくり状態。
しかも電波の状態が悪いところが多くて、ちょうど良いところで携帯がプツプツ切れる・・・。
もう超イライラでした(泣)。
最終的には日本のカード会社とも連絡が付き、僕のカードがATMに飲み込まれたことはコンピューター上は何らかの「エラー」と記録されていて、以後全く使用された形跡はないことを確認して、一安心。
飲み込まれたカードは無効にして、新しいカードを日本の住所に送ってもらうように手配がついたころには、僕の車はコロンボの中心部にある「ナンバー11」に・・・。
コロンボでも他の地区とは明らかに違う高級住宅街の奥、これは独りで地図片手に来たりしたのでは見つけるのがちょっと難しい感じの場所にありました。
「ナンバー11」到着は予定より相当遅れた午後4時50分くらい。
「もしかしたら午後4時半以降は入れないかも・・・」とのガイドの事前の言葉に、このバワの自宅を見られない覚悟もしていたのですが、応対に出たスタッフは嫌そうでもなさそうでしたが、明らかに時間を気にする様子でOKと・・・。
で、入るとまずは彼の愛車がで~~ん。
ここは前述のようにバワが生前コロンボで暮らしていた家、もともとは彼が設計した家ではなく、彼が1958年にこの一角に引っ越してきてからじっくりと時間をかけ、長屋状に連なる4つの家を増改築したものなんだそうです。
現在は「ルヌガンガ・トラスト」(The Lunuganga Trust)、通称「バワ財団」が管理していて、財団のオフィスとしても使用中。
バワのベッドルームや事務所などのあったこの「ナンバー11」の一階部分は、僕のように料金を払えば見学可能ないわゆるミュージアムとして、またゲストルームのある二階部分は、ホテルとしても利用可能だそうです。

中は英語の堪能な若い男性スタッフが案内をしてくれます。
丁寧ですが、とても控えめでストイックな感じすらする案内振りは、「ルヌガンガ」の時と同じ印象を受けるもの。

バワが亡くなったのは2003年、まだ10年位前のこと・・・。

そこここにまだバワがそこにいるかのような、あるいはかつての生活の息遣いがリアルに感じらるような、繊細だけれど実にインティメートな雰囲気に溢れたシーンの連続。
置かれている家具や調度品、またアート収集が趣味だったというバワが選んだ世界中からのアート作品について、スタッフは一つ一つ丁寧に説明してくれます。
良いなあ、この辺のインテリア。
でもこの椅子、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナ・チェアのコピーでしょうか?
バワの美意識のエッセンスを感じてしまうようなリヴィングルーム。
ここに来る前に見た「ザ・ヴィラ」やインテリアショップの「パラダイスロード」と共通する、バワ後期の好みの色合い、デザイン・パターン、小物・・・。


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