遼寧半島南端に位置する大連は中国の重要な港であり、工業そして観光都市でもあります。
大連は三面を水に囲まれていて海岸線は長く、沿岸には島々が星のように点在しています。
この港湾都市とも言える大連は、「アカシアの花」大会、国際ファッション祭り、輸出商品交易会、国際マラソン大会など季節ごとに多くの人を国内外から集めています。
また日本人にとっては旧満州国があった地方ということで、特にご年配の方には馴染みやすい地方です
そのためか、刺身を食べる、大浴場に裸で入浴するなど日本人的文化習慣が残っています。「海鮮料理とサウナ入浴は大連ではかかせない名物」と大連関連のサイトには書かれていましたし、僕の大の親友、中国生活も長かったRhizhongさんにも「大連行ったら海鮮料理をぜひ」と言われていました。
ホテルの日本人コンシェルジェも「大連の名物といえば海鮮料理、大連に来て海鮮を食べないともったいないですね」とあおります(笑)。
日本で大連関連のサイトを調べたところでは、海鮮レストランでは「天天漁港」というチェーン店の名前が一番有名でした。
でも大連に来て、一番美味しい海鮮料理屋はと聞くと、複数の人が「万宝海鮮舫」と堪えます。
じゃ、そこにしましょうということで、青泥窪橋地区散策の後、マイカルの下にあるスイソテル(スイス・ホテル)、ケンピンスキー・ホテルとホテルのホッピングしながら(笑)、それぞれ宿泊客を装って(笑)、色々な情報をコンシェルジュあたりから聞きながら(どのコンシェルジュも海鮮料理なら「万宝」と言ってました)、レストランのほうに歩いていきます。
と、行く手にこんな建物が・・・・
豪華といえば豪華、趣味が悪いといえば趣味は相当悪い・・・とにかく周囲からめちゃくちゃ浮いた建物がなんと、僕らのめざすレストランだったのです。
ホテルの前はもう黒塗りのベンツのオンパレード、大連中のお金持ちが集まったかのようです。
とにかくもう後から後からお客が集まってきます。
ベルも何人もいますが、とても手が回らないほどです。
中に入ると、そこは高級ホテルのようなレセプション。
英語もミニマムながら通じる女性が席まで案内してくれます。
中国らしく(?)、どんなに高級なレストランでも予約などいらないようです。
一階が普通の席、2階がオール個室で、多分ですが300~400人くらいは楽に収容できる、それはそれは大きな、信じられないくらい豪華なレストランです。
席に着くと、今度は席担当の女性(この人たちは簡単な英語も全くダメ)に受け継がれ、フロアいっぱいの生簀から食べたい食材を選ぶことになります。
そしてそれを好きな方法で調理してもらうのです。
ものすごい活気、膨大な種類と量の魚、それを選ぶお客のなんと多いこと。
こういうレストランに来るくらいですから、客層はお金持ちのみでしょう、皆さん、ものすごいオーダーの仕方です。
中国の(一部の)方の金満振りが、本当によく分かるレストランです。
伊勢海老だけだって、100匹以上は生簀にいます。
僕らは一番美味しそうな1キロくらいのを選びました。
ここでこのオニーさんたちの威勢に負けてはいけません。
自分の眼で一番活きの良いのを見つけて、ちゃんと足とか折れてないか確かめて、籠に入れさせます。
その他、ありとあらゆる魚が、まだ生簀に泳いでいるもの、活締めになっているもの、より取り見取り。
大連名物の海腸もあるし、貝類も沢山。
目移りしちゃいます。
別のコーナーには、フカヒレ、海の乾物、野菜、点心、果物等も並びます。
なんとか英語の出来ない女性を相手に、食べたいものを決めていきます。
身振り手振り全開です(笑)。
ただ問題は大切な「調理法」です。
これだけはなかなかうまく伝えられません。
ここに来て、自分達の意に染まぬ調理法は嫌です。
英語の分かるスタッフはいないか、呼んでもらいます。
すると、いました・・・英語がネイティブ・クラスのマネージャーが。
彼にそれぞれの一番美味しい調理法を聞いて、席担当の女性に通訳して伝えてもらいます。
隣の席のグループは「ウニがおいしい、お土産に100個くれ」と言っているのだと、その彼が通訳してくれます。
ウニ、100個?!!!?
すると、さすがこのレストラン、約10分で発泡スチロールの白い箱10箱がその席に届けられました。
本当に中国(の一部の人)のお金持ちぶりはすさまじいです。
この大連の海鮮料理レストラン「万宝海鮮舫」は本当に活気があります。
お客もひっきりなしに来ますが、とにかくスタッフも沢山いるので、客へのサービスも怠りありません。
まず、前菜にはウニを。
中国でも生ウニを食べるのですね。
ウニのコーナーは産地別なのでしょうか、いくつかのセクションに分かれています(値段も違います)。
残念ながら、中国語の分からない僕には、その違いが分かりません。
こういうところがなんとももどかしい・・・。
味はとても癖のない、まさに「ウニ~~~っ」って感じです(笑)。
ただ日本のものに比べて味に濃厚さが少ないかな・・・。
次は伊勢海老の刺身。
約1キロのものを捌いてもらいました。
船盛り風に、スモークもたかれて出てきます。
こういうところも中国風?
これは文句なしでした。
身の引き締まり具合も充分だし、甘みもタップリ。
ただ、刺身の下にサランラップが敷いてあるのは、日本人には・・・・でしたが。
残りの部分はスープにしてもらいます。
続いては、フカヒレ。
この手のものは香港のレストランのほうが圧倒的に上手・・・と思いきや、これはなかなかの味を出しているのです。
圧倒的なフカヒレの量と、上湯の味も上品なスープは、かなりな美味しさです。
量もたっぷり。
モヤシ、酢、香菜で味をまとめれば、「注文してよかった~」の味になります。
野菜のコーナーからは、アスパラガスを。
時期のものという意味もあったし、英語を話す若い男性マネージャーのお勧めでもあったからです。
で、これが大正解。
彼のお勧めに従ってニンニク炒めにしてもらったのですが、ニンニクの使い方の何と絶妙なこと!
さすが中華料理、さすが大連一のレストランです。
アスパラの質も良いし、油通しの加減も最高で、箸が止まりません。
次も同じニンニク風味のホタテ。
調理法を教えてくれたマネージャーも「ニンニク味が続くけど、これが美味しいですよ」と太鼓判のホタテのガーリック蒸し。
これも、マネージャーの言う通り。
ホタテも新鮮で大ぶりなら、出てきた味も最高で、上にかかかったニンニクの何と効果的なこと・・・中華料理のニンニク使いの巧みさをまざまざと見た思いです。
素材の新鮮さが更に引き立っています。
写真には写っていませんが飲み物も注文していますし、もうこの辺でお腹は一杯。
アワビやトコブシなんかも薦められましたが、もうギブアップ状態です。
締めに肉まんを注文。
もちろん食べ切れませんでしたが、これだけは普通の味。
ただ、皮が美味しかった・・・やはり饅頭は皮ですね。
具じゃない。
伊勢海老のスープが出てくる頃には、動くのも嫌なくらい(笑)。
最後に無料で出るフルーツ等は、奥さんと顔を見合わせるのみでした。
支払いはクレジットカードで問題なく、チップも不要。
本当に大満足で、この海鮮レストランを後にしました。
玄関まで席担当の女性がお見送りしてくれますし、ベルはすぐタクシーを拾ってくれます。
さて、最後にこれだけ食べて、2人分、飲み物も入れてですが、いつらぐらいかかったでしょうか?
これが大問題ですよね、いくら物価の安い中国でも・・・。