墓参りに行った町からすぐ近くに、人気の町「小布施」があります。
せっかくここまで来たのだから・・・と、僕らも小布施まで足を伸ばすことにしました。
タクシーで約10分のはずが、途中から全然タクシーが進まない・・・そう、今日は3連休の最終日、しかも絶好の秋晴れの日・・・人気の町は混むはずです。
あまりに道が動かないので、観光の中心地、「北斎館」のあるところまで300メートルのところで、降ろしてもらうことに。
道の両側の観光客は歩くにつれてどんどん多くなり、この町の人気ぶりを教えてくれます。
特にすごかったのが、この店、「竹風堂」。
うちの近くの高級系(?)スーパーにも常時その商品が置いてある、栗菓子の有名店です。
もうお客はひっきりなし。
売り場は超満員。
この光景は、見たことのある人じゃないと信じられないほどです。絶句!
客の買い方もハンパじゃないです。
僕の同行した友人だって、2万円以上(!)も栗のお菓子類を買って、宅急便で送ってましたからね。
もっとすごかったのは、2階のレストランで食べられる「栗おこわ」。
(この店では「おこわ」を「強飯」と表記しています)
常時「席待ち」状態だそうで、お昼時はなんと2時間くらい待つことがあるんだそうです。
この時間(午後2時過ぎ)でも、約45分待ちくらいとのこと、それも「店の中で待っていてください」と・・・見ると奥の待合室に、呼ばれるのを待っているお客さんがギッシリ。
いくら連休といっても、これはすごすぎ。
3連休とかに日本の観光地に出かけることの少ない(3日間休めたら、まず海外考えちゃう人ですから・・・)僕は、もうただひたすら唖然です。
僕らは店の人の言うことは聞かず(笑)、ズルをして店の外へ。
あまり遠くには行かないようにして、観光のメイン・ストリートと思しきところを歩いてみます。
でも、まぁ・・・本当に「観光用みやげ物店」ばかり。
30分ほどして店に戻り、何食わぬ顔をして(笑)更に待ちます。
お店の人の予想とおり(さすがプロ!)、呼ばれたのは予約の名前を書いたちょうど45分後でした。
2階のレストランはこんな感じ。
階下の混雑とは無縁のゆったり感があり、席もポツポツ空いています。
で、「おこわ」なんか蒸すだけだからすぐ出てくるはずと思っていたら、これがまた時間がかかる、かかる・・・。
これじゃ小布施で絶対の岩松院の「八方睨み鳳凰図」を見る時間がなくなっちゃう・・どうしよう(泣)。
葛飾北斎が89歳(!)の時に描いたという天井画のある岩松院は、ここから約2キロの地点にあるはずです。
時間的にギリギリか・・・?
出てきたこれが、魚のついていない方(安い方)のシンプルな栗おこわの定食(値段は1000円くらい?)。
これだけなのに、出るまでなんでこんなに時間がかかるの?
ちょっとプンプン気味で(笑)食べ始めましたが、さすがに有名店、美味しい栗おこわでした。
栗はタップリ入っているし、おこわの炊き加減が絶妙。
栗は多分低糖度の糖液で蜜煮されているのでしょう、上品な甘さです。
ほんの少しの塩分がとても効いているおこわも、腰があってそれでいてソフトな食べ口です。
おかずでは、右奥の「むかご」が美味しかったです。
むかごは漢字で書くと「零余子」。
山芋の葉の付け根にできる小指の頭ほどの球芽で、小さな粒の一つ一つに山芋の香りとコクが凝縮されていて、好きな秋の味覚の一つです。
噛んで外側の皮をプスッと破ると中のトロッとして、それでいて上品な中身が・・・くどくはありませんがコクがあります。
むかごご飯も良いなぁ。
デザートには栗のお汁粉。
餡がすべて栗!
栗、くり、クリ・・・もう栗のフレイヴァ以外何も感じないほど「栗」味です(笑)。
何度も食べるほどではないと思いますが、栗、小布施、秋!を120%感じさせる甘味でした。
食事を終わって、階下に降りてみると、僕らの食べたおこわの持ち帰り用ブースはまだまだ大繁盛。
この時間でも大行列です。
それでもオネーさん達、箱詰めの手を一時も休めることなく笑顔で対応。
さすがプロです。
とにかくこの店、何でこんなに繁盛しているのって突っ込みを入れたくなるほどの人気振りでした。
小布施のメイン・ストリートには、「竹風堂」の他にも「桜井甘精堂」、「小布施堂」など栗のお菓子を専門にしているお店が軒を連ねています。
どこも混んでいますが、僕らの入った「竹風堂」が一番人気の店だったようです。
友人は僕ほど北斎の天井画(岩松院の「八方睨み鳳凰図」)に固執していなかった(笑)ので、時間のこともあり、「竹風堂」から歩いてすぐの「北斎館」のみ見学することにしました。
緑豊かな栗の木の小道も、人で一杯です。
「テレビで紹介された」という謳い文句で、アップルパイのお店が出ていました。
それなりに人が絶えないで大繁盛していましたが、今は「テレビで・・・」というのが最高の宣伝になるのですね。
食べた人が「サクサクしているけどさ、バターぽくね?」などと言っていたので、パスしました(笑)。
「北斎館」見学の後は歩きながら長野鉄道の小布施駅に向かいます。
すると、道にはみ出す行列をしている店が・・・。
あ、これがうわさの「栗の木テラス」かぁ。
多い日には一日にモンブランを千個は売り切るというカフェ兼スイーツ屋さん。
ここは僕も名前だけは知っていました。
店の母体は「桜井甘精堂」なんだそうです。
「せっかくだから、これも食べてみたいよね」の友人の言葉に、またも行列に・・・(笑)。
僕らは墓参りに長野に来たのに、これじゃグルメ行脚みたいです(笑)。
10月からの販売開始なので、お客のほぼ全員が注文するモンブラン。
1個368円、ショウケースに並ぶ暇もありません。
お味のほうは、さすがに栗の風味の生かし方が上手、たとえば「アンジェリーナ」などで使われているフランス栗とは全く違う風味の和栗を、良く生クリームと合わせています。
モンブランの一番下にあるサクサクしたメレンゲなどは、「アンジェリーナ」以降の人気モンブランを良く研究しているよね・・・なんて思いながら、ローカルな長野鉄道の電車の中で、暮れ行く山並みを見ながら、美味しく頂きました。
小布施から「善光寺下」駅まで電車で約30分、後は急いで善光寺参りです。
もちろん本堂(内陣参拝・お戒壇めぐり)はもう時間的に遅すぎてだめ、それでも見られる限り境内をまわって、その堂々たる威容の一端に触れてきました。
帰りの新幹線はお土産を両手に持った僕らと同じ観光客で超満員。
指定席を取っておいて大正解でした。
今日も良く動いて、良く食べました(笑)。
K君の墓参りにかこつけての長野小旅行は、葛飾北斎の天井画ガ見られなかったこと以外、パーフェクトな休日に・・・これもK君が天国からそう手配してくれたのかな。