大同餅家 東興
シンガポールで中華菓子といえば、大同餅家。
月餅でもまだ売っているかと思いきや、ガ~~~ン、中秋節が終わりその時の忙しさの反動から、この週は全日お休みとのこと。
本当?
閉まりかけのシャッターの奥からチリチリパーマのオバちゃんが、ブロークンの英語でそういうのですから仕方がない。
短い旅は、こういうこともあります(泣)。
気を取り直して、比較的近くにある中華菓子のこれも名店、「東興」(トンヘン)に行ってみることにします。
ここはちょっとモダンなインテリア、椅子も置いてあってここでイートインも出来ます。
これは婚礼用のお菓子。
chinese wedding cakeと注釈がついていました。
蓮の実餡で、これは日本のあまり油っぽくないしっとりした甘い餡の月餅に似ています。
エッグタルト。
これは黄身の味が際立った「卵・玉子」したタルト、僕はもう少し黄身を抑えてお菓子っぽさを追求したタルトほうが好み。
でもパイ生地はサクサク、エッグ・クリーム分はプルプル、これはこれで相当なものです。
車で乗り付けて20個とか買っていく人続出、人気店でした。
通りに置いてある椅子のほうでまったりした後、チャイナタウンのグルメ通り、スミスス・トリートに向かいます。
段々日も暮れてきて、チャイナタウンに明かりがともり始めます。
立ち並ぶレストランや屋台の中から、僕の好きなピーナッツ・スープの店でまたもスイーツです(笑)。
ピーナッツがたっぷり入ったやや暖かい甘いスープに、白玉団子が浮かんでいます。
団子の中身は指定でき、一番人気は胡麻餡、次いで小豆餡、蓮実餡などのよう・・・。
もちろん何個入れるかだって指定できます。
ピーナッツの素朴で自然な甘さと、小豆餡の白玉が意外に良く合って、ホッとする美味しさです。
シンガポールではピーナッツだけではなく、甘いジンジャーやパンダン・リーフのスープなどに団子を浮かべたものを、Ah Bolingと総称しています。
この店はゴールデン・マイル・フードセンターに本店を持つ評判のお店。
前回僕がマックスウェル・フードセンターで行った店(「75 PEANUTS SOUP」)と並んで、「マカンスートラ」では高評価のピーナッツ・スープの店なんです。
チャイナタウン周辺
世界中ほとんどどこの都市にもあるチャイナタウン。
ここシンガポールも、華人がその人口の4分の3を占める国だけあって、多民族国家とはいえ、国全体がチャイナタウンと思える時だってあるくらいです。
でも、都市再開発の名の下にビジュアル的にいかにもチャイナタウンという地域はずいぶん狭まくなってきていて、シンガポール川の南、ニュー・ブリッジ・ロードとサウス・ブリッジ・ロードを中心とする一角だけになってしまったようです。
どこの国のチャイナタウンもそうであるように、シンガポールのここも、ゴチャゴチャしていて活気に溢れ、独特の雰囲気をかもし出しています。
ただ、ここシンガポールは何につけてクリーン至上主義、チャイナタウンの持つ猥雑さはかなり薄めです。
表通りからはそこに暮らす人たちの生活臭もほとんど感じられず、悪く言えば、チャイナタウン全体が観光用に作られたイミテーション・エリア?シンガポールに好意的じゃない人の中にはそこまで言い切ってしまう人もいるかもしれません。
奥の高層ビルとの対比がいかにもシンガポールですね。
チャイナタウン共通の店も沢山並んでいます。
ここは、煎じた各種のお茶を売っている店です。
今日のお勧めは菊花茶と、呼び込みのオネーさんは言ってました。
これは何?
芳芳さんならお分かりでしょうか。
チャイナタウン名物の乾物屋、薬草問屋もあります。
中華街ですから、食べるところも山と存在します。
これがスミス・ストリートの屋台街。
近くのチャイナタウン・コンプレックスと並んで人気の店が目白押しです。
店頭に貼られたシンガポールのテレビ出演の記事、日本の雑誌の紹介記事・・・これにつられて「蘭州拉麺」(ランゾウラーミェン)というこぎれいに店に入ってみました。
これがこの店一押しの炸醤拉麺、日本で言う坦々麺です。
お腹があまり空いていないので注文はこれ一杯だけ、4ドルでした。
店の奥では麺打ちの実演中、これがこの店の名物のようです。
打ちたてを出す・・・ということをポリシーにしているんだそうです。
で、肝心の味はねぇ・・・う~~ん、炸醤は普通、麺は・・・僕には柔らかすぎ、コシがない。
嫌いなタイプのソフト麺。
やっぱり日本の雑誌を壁に貼っているようなところは避けるべきだったです。
これは僕の店選びの失敗。
そうこうしているうちにチャイナタウンにも夕闇が・・・ニュー・ブリッジ・ロードはチャイナタウン独特の色使いの電飾で飾られ始めます。
全体にチャイナタウン特有のどぎつさもなく比較的おとなしい電飾は、まさにシンガポールのチャイナタウンならでしょう。
チャインタウンのMRTの駅からはドービーゴート駅の乗り換え(簡単です)でたったの4駅、時間にして15分弱でオーチャードに戻ることが出来ます。
次、またシンガポール、あるいはチャイナタウンに来ることがあったら、チャイナタウン・コンプレックスの店とか、アウトラムパーク周辺のホーカーズなんかに挑戦してみたいですね。
サルタンモスク
シンガポール発のJAL710便は、夜10時40分の出発。
チャンギ空港までの交通事情は悪くないので、8時半にホテルに預けてある荷物を受け取って空港に向かえばOKと判断、最後の最後までシンガポールを愉しむことにします。
さて、どの辺に繰り出そう、クラーク・キー?ボート・キー?
あ、そうだ、アラブ・ストリートはどうだろう、あそこからビーチ・ロードをゴールデン・マイル・コンプレックスのほうに歩いてみようか?
・・・ということで、シンガポールの最後の数時間は夕方のサルタン・モスクから始まります。
とにかく人の多いブギスからわずか100メートルくらいのところに、イスタナ・カンポン・グラムと呼ばれるイスラムの匂い濃い地域が広がります。
その中心となるのがこのサルタン・モスク、シンガポール最大最古のイスラム教寺院です。
やや暮れかけたシンガポールの夕空の中に、その美しさは実に凛としたものです。
以前中に入ったことがあるので、今日は外から見るだけ。
それにしても、このモスク、いつ見ても僕ら日本人にはエキゾティックで、「異国の地にいるなぁ」の実感を描かせる、ちょっとおセンチな風景です。
でも、まず「食欲ありき」(笑)の僕は、このモスクのノースブリッジ・ロード側にある(ゴールデン・ランドマーク・ホテルのすぐそば)ムルタバで有名な「ザムザム(ZAM ZAM)レストラン」の方に眼が行ってしまいます。
前にここに来たときもいたオジさん(頭の具合でよく覚えてます・・・笑)が、手際よくムルタバを作っています。
粉を油と水で捏ね、それをあっという間に風呂敷のように伸ばして、卵を落として各種の具を入れて包んで、焼く・・・見ているだけでも楽しく、客引きもいるので思わず入りたくなってしまいますが、ここはグッと我慢(笑)。
今日はもっとこの地域の奥のほうに入って行きたいので・・・。
両側に沢山のお店が並んだブッソーラ通りからのサルタン・モスクは、僕の好きなシンガポール風景の一つです。
そろそろ灯りも付き始めてきました。
こういう大きめのカフェもありますが、僕の注目はこんな感じの店。
ローカルでしょう?
第一、店の名前もどこにも書いてありません。
名前がない?
来ているお客の風体も・・・とても中級の店とすら言えません。
売っているのはパン、マシレマーク・・・でも途切れなくお客が注文しているのはテタレです。
テタレ・・・マレーシア風のミルクティーのことです。
アルファベットで表記すると、テタレはTeh Talikと書きます。
Tehはティー、つまり紅茶のこと、Talikは「延ばす」あるいは「引っ張る」という意味のマレー語です。
作り方としては、紅茶とコンデンスミルクを混ぜ、上のカップから下のカップへ注ぐ と言うか、投げ入れます。
この動作を繰り返すことによって空気が液体に混ざり、まろやかさが出せるんだそうです。
何とかこの動作を写真に収めようとしたのですが、この店の雰囲気がそれを拒否しているような気がして、こうして斜めからの撮影にとどめました。
険しい表情の売り子、奥にいて客の注文に一心不乱に答えるいかにも年季の入っていそうなテタレの職人(?)、次から次へとほとんど絶えることなく訪れる客(一つ上の写真の、お客の帽子の鍔の丁度先に、ビニールの袋に入った薄茶色のものが見えるでしょ、みんなああいう形でテイクアウトしていくのです)、そしてその客層・・・それらが、僕をどうしても店の中を覗き込んで写真を撮る勇気を失わせたのです。
で、このテタレが実に最高だったんです。
僕の今回のシンガポール旅行中、ベストな美味しさと言ってもいいくらいです!
歩き疲れていたからでしょうか、この1ドルもしないミルクティーが(マレーシアでは1リンギットしないはず、30円以下?)、なんとも美味しく感じました。
コンデンス・ミルクのやや人工的とも思わせる甘さと、「良い匂いの干草」っぽいとでも言うのでしょうか、日ごろ僕らが良く飲む紅茶よりずっと土着的な香りとが最高にブレンドされて、疲れた手足の神経の隅々にまで染み渡る気すらしたのです。
もちろんその時の体調にもよるのでしょうが、とにかくここの粗末な椅子に座ってのテタレ・タイムは最高のリラックスを僕に与えてくれたのです。
さぁ、これからこの地区、もっともっと奥に入っていきます。
スーチョンホア
いよいよシンガポール48時間の食べ歩きも、最後の報告になります。
サルタン・モスクからブラブラ歩き、周囲の雰囲気を楽しみながらビートロードのほうに移動します。
すっかり暗くなった中に煌々とライトをつけたこの店、「スー・チョン・ホア」(SEOW CHOON HUA)というフィッシュボール・ヌードルの人気店が見えてきました。
どうも福建スタイルの麺、のようですね。
この店のフィッシュボールはうわさ通り本当にふわふわ、薄味で淡白なスープともども、日本人には絶対受ける一品でした。
でも僕は実はこの店で
を食べてみたかったのです。
これはシンガポールの某グルメサイトで絶賛されていたred wine chicken noodlesというもので、ワイン入りのチキン・スープの麺なんです。
シンガポールでも珍品だそうで・・・店のオバちゃんに聞くと「今日は作らなかったのよ、ごめんなさ~い」とのこと・・・残念でした(泣)。
ローカル向けの沢山のレストランを横目で見ながら、ビーチ・ロードを東へ。
美味しい店が多いというB級ホーカーズ・センターの「ゴールデン・マイル・フードセンター」が見えてきました。
ここは2階にホーカーズが大集合しています。
でも、見るからにローカル・オンリーのフードセンターでしょ。
「マカンスートラ」で褒められている店をいくつか回りますが、どうも食べたことのある料理だったり、外見上イマイチ食指が沸かない店だったりしたので、行き当たりばったりで、今回はまだ食べていないこれもシンガポールのホーカーズには無くてはならないクレイポット・ライスの店にしてみました。
店が湿気と湯気で(?)曇って見えますが、名前は「黄金砂保飯」で良いのでしょうか。
クレイポット・ライスとは、見ての通りの土鍋炊き込みご飯です。
注文を受けてから炊くのではなくて、1人前と2人前用があらかじめ炊き上がっています。
蓋を開けると、もうもうとした湯気となんとも良いお米の香り、そこに素早く中国醤油と油をかけて、かき回します。
すごい早業・・・注文して30秒後には良くかき回された土鍋とご飯茶碗が並びます。
で、味ですが・・・最初の1~2杯は美味しい・・・でもこうした炊き込みご飯は、どう考えても日本人には日本の炊き込みご飯でしょう。
微妙に異国の醤油の味って感じ、微妙に米のにおいの違いが気になってくる・・・しいたけ、鶏肉など具沢山ではあるのですが、これは日本の炊き込みご飯のほうに軍配が上がるでしょう。
この辺でどうも僕のシンガポール旅行、タイム・アップ。
さすがにこの辺りには流しのタクシーはいないので、ブギスまで歩いてタクシーを捕まえ、ハイアットのベルに寄って、預けてあったバッグをピック、同じタクシーでチャンギ空港まで急ぎます。
タクシー代は通しで26ドル、訛った英語でしたがとても気の良い老齢の運転手さんと話も弾み、今回のシンガポール、最後まで気分良く過ごすことができました。
ただJALのチェックイン・カウンターではアップグレードならず、それでも非常口脇のABが空席のCという良席をアサインしてもらい、足も思いっきり伸ばして、すぐに爆睡モードに入ることが出来ました。
チャンギのラウンジはいつものように、BAとQF共用のファーストクラス・ラウンジを利用、少しはスナック類をお腹に収めていたので、JALでは朝食抜き、着陸寸前まで睡眠持続状態でした。
(ワンワールドのエメラルド・メンバーは「SATSプレミアクラブ」を案内されても、ためらわずお隣のファーストクラス・ラウンジに入っちゃってください。快適度が違います)
おかげで、9時の仕事始めには遅刻せずに間に合って・・・疲れましたが、今回も大成功、僕の思い通りの旅行が出来ました。
以上長くなりましたが、僕の48時間のシンガポール滞在記でした。
長文、お読みいただいて有難うございました。